動物実験の廃止をめざして…動物保護団体JAVA(ジャバ)の亀倉弘美さんのコラム vol.6
Better than Nothing
できることを少しでも
動物たちにやさしいライフスタイルを
動物保護団体JAVA(ジャバ)の亀倉弘美です。
桜がちらほらとほころび始めましたね。
別れと出会い、そして物事のスタートの季節です。
この時期、忘れてはならないのが、3月11日。
6年前の出来事は、いまもはっきりと脳裏に焼き付いています。
たくさんの方々が亡くなられ、ご家族を亡くされました。
この場をお借りして、改めてご冥福をお祈りいたします。
ご遺族の悲しみが癒える日が早く訪れますように。
復興もままならないなか、多くの不安を抱えながら過ごされている方もたくさんいらっしゃるでしょう。
6年たった今も、原子力発電所の事故処理の先が見えない状況には、被災者の方々だけでなく、国内外の多くの方が心を痛めています。
自分ひとりにできることは多くはないけれど、これからも、被災された方々の気持ちに寄り添い、できる範囲で復興支援に協力し、日々の自分の豊かな暮らしを振り返ることも、忘れずに続けていきたいと思います。
この地震で、たくさんの動物たちも災害に見舞われました。
特に原発周辺の避難区域では、たくさんの犬や猫たちが現地に取り残されたまま、牛や豚、鶏といったたくさんの畜産動物たちが畜舎に閉じ込められたまま、飢えと渇き、寂しさと苦しみのなかで、亡くなっていきました。
家族である犬や猫たちと一緒に避難したくても、望み叶わずに泣く泣く手放さざるを得なかった飼い主の方も大勢おられたでしょう。
この震災を教訓にして、国では、災害が起きた際の動物救護のガイドラインをつくり、飼い主が動物たちと一緒に避難する「同行避難」がスムーズに行われるように普及啓発を行っています。
「災害は、忘れたころにやってくる」――動物と一緒に暮らしている皆さん、もしものときの悲しみが最小限になるように、日ごろから、飼い主情報がわかるような対策、避難用品の準備、万が一の場合の避難先での共同生活に耐えられるような訓練や健康管理…動物と一緒に避難するための備えをしておいてください。
環境省「備えよう!いつも一緒にいたいから」ペット動物の災害対策
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2309a.html
さて、3月11日は、私たちの活動にとって喜ばしい記念の日でもあります。
4年前のこの日、EU(欧州連合)で化粧品の動物実験が完全に禁止になりました。
このEUの決定は、多くの国や地域、企業に現在進行形で影響を及ぼし続けています。
2014年にはインド、ブラジル・サンパウロ州で禁止が施行。2015年にはニュージーランドで動物実験禁止法案が、韓国で代替法使用を義務付ける法案がそれぞれ可決。カナダと米国でも禁止法案が議会に提出され、2016年には台湾で禁止法案が可決し2019年に施行されます。
欧米で反対運動が沸き起こってから約40年、「化粧品のために動物実験を行ってはならない」というルールが世界標準になる日は遠くありません。
その日が一日でも早く訪れるよう、これからも力を尽くしたいと思います。
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化粧品については廃止が目前というところまできたものの、「動物実験反対」と訴える私たちの活動はいつも茨をかきわけながら進んでいます。
動物実験に反対だって?それなら化粧をするな、薬を飲むな、医者に行くな、肉を食べるな、野菜だって生きている…よくこんな言葉を投げかけられます。
人間の営みは、他の動植物の犠牲なくしてあり得ないのだから、その恩恵を受けている以上反対する資格はない。
この「オール・オア・ナッシング」の壁が、動物を救う活動の眼前に大きく立ちはだかります。
たしかに、私たち人間も含めて、すべての生物は皆、他の生命を糧として生きています。
でも、犠牲は多いより少ないほうがいい、そう思うのです。
動物実験をしていない企業の製品を買う。犬や猫を家族に迎えるときペットショップで買わずに自治体の譲渡会や動物愛護団体の里親会を利用する。
ケージ飼いの安売り卵をやめて平飼い卵を買う。お肉を食べる量をちょっと減らしてみる・・・。
「オール・オア・ナッシング」ではなくて「ベター・ザン・ナッシング」。
すべてはできなくてもいいのです、ほんの少し変えるだけ。
この春からあなたのライフスタイルに動物へのやさしさをプラスしてみませんか?
一人ひとりが少しずつでも何かを実践したら、かならず何かが変わります。
あなたのやさしさを、動物たちのために、少しだけ貸してください。
動物たちのためにもっと力を貸せるよ、という方がいらっしゃったら、ぜひ私たちのFacebookページをフォローしてください。お待ちしています!
https://www.facebook.com/JapanAntiVivisectionAssociation
このコラムも今回が最終回となりました。
1年間お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
亀倉弘美(かめくらひろみ)
特定非営利活動法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)理事。
化粧品の動物実験反対キャンペーンを担当。5歳と1歳の子育てのかたわら、ボランティアで活動に従事する。
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