ファファラ精油物語 TOPへ








ファファラ精油物語 

鷺島広子 
第三十一回


 

〇キャロットシード(学名:Daucus carota 科名:セリ科 抽出部位:種子)
ファファラ アロマケアカテゴリ―;リラックス

精油があると知った時、思わず嬉しさで叫んでしまったのがこのキャロットシード。あまりメジャーではない精油ですがこの植物の作用の大きさを知ると、先人の知恵とはなんとすばらしいものかと感激します。

キャロットといっても食用の人参とは異なるワイルドキャロット、日本ではノラニンジンがそれにあたります。同じセリ科の仲間ではありますが、ワイルドキャロットの根は食用には向きません。種子が精油として、また全草をハーブウォーターとして、さまざまな身体(外用・内用)への作用が古くから病気の治療や健康維持に役立てられてきました。

花はセリ科特有の白い絨毯の様で、真ん中に赤い花を持つものや全体がピンク色のモノもあります。種子になるにつれて、広がっていた絨毯が中心にあつまり、茎がまるでレース生地が集まった様になり、それはそれで美しい造形美となり、フラワーアレンジメントにも人気です。その種が熟したものを蒸留して得られるのがこの精油です。

香りは甘くスパイシー、嗅いだ後にわずかに残るニンジンの香り。食べるニンジンは嫌いだけれどこの香りは大丈夫、と言われる方も多い様です。(どの植物もそうですが)この種を収穫して蒸留している仕事に関わっている人たちに感謝の気持ちでいっぱいになります。

作用としては、強肝、強壮、浄血、細胞成長促進、利尿、通経…とセリ科の特徴も持ちながら、一方で(科は異なりますが)オタネニンジン(朝鮮人参)とも共通するような作用を持ちます。赤血球に対しての作用や免疫賦活の働きも持つため、ガン患者、生殖器系の不調、重度の皮膚病などにも用いられてきた歴史もあります。

以前夏の北海道に伺った際に、道路沿いや原っぱのいたるところに、レース状に透けるように集まる種子をつけたワイルドキャロットの群生を見ることができました。また地方に行くと道路沿いにレース状に集まる種子を見ることも…。そこに太陽の光が反射して輝く光景は、まるで絵本の世界のように美しいものです。

植物の恵みがぎゅっと詰まっている精油の中でも、種から採られるものは特に1滴が持つ力が大きいと感じます。種自体が植物のエネルギーがぎゅっと凝縮されているからかもしれません。そのためブレンドする際は少量の使用がおすすめです。キャロットシードは特に甘く濃い香りなので存在感が際立ちます。

相性がよい精油は、ブラッドオレンジやマンダリンなどのこっくりとした香りの柑橘系、またマートルやティートリーといったフトモモ科の植物と合わせるのもおすすめです。またプチグレンやメリッサなどもそれぞれの個性がうまく溶け合って力強いブレンドが出来上がります。

特に疲れたと感じたとき、また自身のエネルギーが低下したと感じたときのトリートメントオイルとしておすすめしたいのが、キャロットシード、プチグレン、マートルのブレンド。このブレンドは鼻づまりや気管支炎など呼吸器系のトラブルにも同時におすすめです。

またキャロットシードはいわば強力なアンチエイジングの働きを持っていますので、年齢を重ねた肌のお悩みや美容を目的としたクリームなどに入れるのもおすすめしています。ティーツリーやネロリなどはスキンケア作用も高く、透明感のある香りで相性もよいでしょう。お顔に用いる場合は、より濃度は低く、そしてお好きな香りであることも大切です。

単体で嗅ぐと、かなりパワフルなキャロットシードの精油ですが、ブレンドすることで意外と他の香りともなじみ、存在感を持ちながらも調和していく過程も楽しめて、精油が持つ力とブレンドの楽しみが味わえる、奥深い精油の1つです。

夏の暑さや紫外線ダメージを受けた肌、疲れが溜まった身体を労わるのに取り入れてみてはいかがでしょうか?

次回はベルガモットミントの予定です。お楽しみに!





キャロッシードBIO野生


======================================

アッシュ 鷺島広子(さぎしまひろこ)

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表

アロマ&ハーブセラピスト。12年間の会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。
サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。



営業日カレンダー

2024年10月
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
2024年11月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30