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ファファラ精油物語 

鷺島広子 
第三十四


 

〇ファファラ精油物語 鷺島広子/第34回 「シナモン」
ファファラ アロマケアカテゴリ―;ジョイ



 シナモンの香りを嗅いで想像するものは、その方が経験してきた背景によってそれぞれ異なるようです。ある方は飴の匂い、ある方は京都のお土産の八ツ橋、またある方はカプチーノ!という具合です。ちなみに昔の喫茶店でカプチーノについてきたシナモンスティック、カップ1杯に1本のスティック、と今考えるとコストがかかっていたなぁと思い出します(といって通じる世代はもしかして限られるのかしら?)。正確には、飴や八ツ橋に使われるシナモンは、シナモン・カッシャ(学名はCinnamomum cassia)、ニッケイ(肉桂)とも呼ばれ、生薬でも使用されるもので今回ピックアップする精油シナモンバークとは種類が異なります。こちらはニッケイと区別して一般的にセイロンシナモンと呼ばれることも多い様です。

 どちらもクスノキ科の木の樹皮を用いますが、セイロンシナモンと呼ばれるものは、肉桂よりも少し繊細な作り、香りもよりさわやかで繊細な感じがします。シナモンバークの精油の香りはさらに繊細さと透明感を併せ持ち、リナロールも含むためより柔らかく爽やかな香りです。

冬の寒い時に温かさを感じられる香りで、作用としても心も身体も温める働きがあります。オレンジ・スイートやマンダリン、などのこっくりとした柑橘系と合わせるとより温かみが増します。クリスマスの香りと表現される方も多く、グリューワインやオレンジポマンダーなどヨーロッパのクリスマスの時期に好まれる香りです。

 香りの成分には、強力な抗菌・殺菌・防虫作用があります。ヨーロッパの12月は寒くなり、風邪が流行する時期です。この時に抗菌作用を持つ針葉樹やスパイスの香りを家の中で香らせて、風邪予防に用いたというのが、実はクリスマスツリーやオレンジポマンダーの始まりともいわれています。いにしえの人たちの季節を健やかに過ごすための知恵が宗教儀式に取り入れられて現代まで残っている例として考えられます。

 シナモンバーク、マンダリン、シベリアモミのブレンドで作ったアロマスプレーは、クリスマス気分を盛り上げますが、同時に空間の強力な殺菌・抗菌ができるスプレーとなります。シベリアモミをダグラスファーに置き換えるとより温かみのある香りになります。これらの香りでアロマキャンドルを作ると、火を灯さなくてもお部屋が暖かく香るアイテムとして活躍しそうです。

シナモンやクローブなどスパイスとして使われている植物の精油は香りが強く、刺激性を持つものが多いので、ブレンドする際は極力その割合を少なくすることがポイントです。他の精油の1/10以下(場合によっては1/100程度)で用いるとよいでしょう。

主要成分であるシンナミックアルデヒドは経皮で用いるとより刺激性が高く、敏感肌の方や乳幼児や高齢者、妊娠中の方はもちろん、一般的にもあまりおすすめしません。血行促進作用や温め作用が目的のマッサージオイルで希釈して用いる場合は、針の先につける程度でも十分その作用が期待できます。
 
香りを嗅ぐだけでも心身共に温める作用があることから、気持ちが落ち込んでいるとき、またやる気が起きないときなどにおすすめです。またシナモンをはじめとするスパイスの香りは古くから媚薬として使われてきた歴史がありますので、気持ちを温め、人を愛しく想う気持ちにも寄り添ってくれます。

手軽に香りを楽しむおすすめの方法としては、1週間分のバスソルト(塩・約100g)に1滴だけシナモンバークの精油を入れて、その他マンダリンやローズ、モミなどの針葉樹の香りなどをお好みで20滴程度ブレンドして入れ、ジャム瓶などに保存し、5〜7回に分けてバスソルトとして用います。マジョラムの香りを合わせると、温かみが増し、甘すぎないブレンドになります。
また瓶の蓋を開けてお部屋の芳香剤として楽しむのもよいでしょう。

年の瀬に向けて何かとせわしなく、落ち着かない日々の夜に少しゆったりしたいときに温かみのある香りで風邪予防と共に深呼吸して、自分や愛しい人を思いやる時間を持ちたいものです。

次回は年明け、シナモンとも相性抜群のオレンジ・スイートの予定です。お楽しみに!



シナモンバーグBIO


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アッシュ 鷺島広子(さぎしまひろこ)

ホリスティックアロマサロン H【a∫】(アッシュ) 主宰
葉っぱのうらがわ 代表

アロマ&ハーブセラピスト。12年間の会社員として大手メーカーに勤務。システムエンジニアとして主にコミュニケーションロボットなど人の感覚に関わるシステム開発に携わる。自らの経験から植物療法の有用性を強く感じ、また人から人へ直接伝えていける環境を求め、2006年にプライベートサロンを開設。同時に様々な植物療法に関わるモノづくりを行うメーカーとの関わりが増え、2013年より植物と人との関わりをテーマにした場づくりをメインに行う“葉っぱのうらがわ“を立ち上げる。アースデイ東京やフジロックなどの野外イベントでも確かな材料で暮らしに役立つアイテムを作るワークショップを多数実施。「さとやまハーバルライフ」、「ボタニカルヒーリング」など、植物を直接感じ、暮らしに役立てるフィールドワークを行う。
サロンでは植物の恵みを心身の美と健康に役立てる季節のスキンケア、セルフケアアドバイス、インド式ヘッドマッサージセラピスト養成などの講座を実施、葉っぱのうらがわでは商品のコーディネートやイベント企画を行っている。東京都の国分寺市にある「暮らしを耕すマーケット」で、ファファラをはじめとするアロマやハーブのブランドを取り扱い、セルフケアアドバイスと共に販売中。



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